(CMガイドブックからの抜粋を整理して、掲載致しました。詳細につきましては、CMガイドブックをご覧下さいますようお願い致します。)

 日本では、CMに関する動きはどのようになってきたか振り返ってみる。 

 

■ 1970年代から1980年代まで

 日本におけるCMの議論と発展は、1970年代初頭にアメリカにおいてCMが本格的に 展開されるようになった時期にさかのぼる。当時、建設省、関連団体、業界団体、建設会社は多くの調査団をアメリカに派遣し、新たな管理方式であるCMにつ いて着目した。しかしながら、CMは契約社会のアメリカでこそ発展しうるものであり、日本の契約慣行、商習慣にはなじみにくいという観察が主流であり、日 本の総合工事業者、エンジニアリング企業は海外プロジェクトにおいては、CM方式を実施するものの、国内において具体的にCMに取り組むところは1980 年代の後期まで見られなかった。
 バブル期に差しかかろうとする頃、特に大手の総合工事業者では急激にプロジェクトが大規模・複雑化し、さらに多 くの建設需要に効率的に対応するために、従来型の施工体制を見直すようになり、必然的にCM方式に再度着目するようになった、大手の総合工事業者にはいち 早くCMの専門部門を設置し、CM方式を自社開発プロジェクトで試行する企業もあり、CMに対する関心は高まった。

 

■ 1990年代

 しかしながら、90年代初めのバブル崩壊により、建設投資は急速に冷え込み、CMの関 心の前提が大きく揺らぐこととなる。一方公共工事において、入札制度の改革の議論が同時期に行われており、1992年の中央建設業審議会の答申では、新し い発注方式の一つとして建設工事の総合管理方式(CM方式)を検討することが提言されている。1993年に建設省が指名競争入札から一般競争入札に移行を 表明した頃、建設コストの縮減、透明性の確保が建設産業における大きな課題となっていた。また、1993年の日米建設協議の改定案において、アメリカ政府 は先進国においてCM方式を取り入れていないことによる参入障壁を指摘することにより、CM制度の導入ならびにCM方式の試験プロジェクトの実施を、強く 日本政府に迫り、制裁措置に言及するようになった。
 一方、WTOの国際調達基準への準拠の一環として、1994年1月に日本政府は「公共工事の 入札・契約手続の改善に関する行動計画」を発表し、発注の適正化を図るとともに、国際調達基準に基づいた調達を行なうことを掲げ、アメリカ政府の制裁措置 を逃れた経緯がある。1995年には建設業行政の長期的な展望の集大成として、「建設産業政策大綱」がまとめられ、その中でCMは、「CM方式に関しては 適切な事業の選定、CM業務の金銭的評価、発注者との役割分担等について早急に検討する。今後、建設産業の独立した分野として可能かどうか、ニーズ、CM の業態のあり方についても検討を進める。」と言及された。

 日本建築学会では、1993年にPM研究特別委員会を設置し、大学・関連団 体、企業の有識者が集まり、PMおよびCMに関する活発な議論が行われるようになった。1995年日本建築積算協会では、「BSIコストスクール」を開設 し、PM、CMを含む幅広い知識を紹介する講座の提供を開始した。

 90年代後半になると、設計事務所、総合工事業者の中で組織的なCM の取り組みを行う企業が現れるようになり、また企業のインハウスの技術者である施設部門や、施設に関わる関連会社が強い関心を示すようになってきた。ま た、海外から進出した建設企業もCMのみならずPMサービスの提供を標榜する企業が増え、外資系企業を中心に日本における実績を重ねた。
 また、この頃専門工事業者の調達に着目した方式が注目されるようになった。これは、分離発注的な入札を行いながらも、最終的には一式請負方式で発注するものであり、既に普及期にあったコストオン方式と同様に日本独特の建設生産方式の一つとなっている。
  さらに、1999年に建設省と通産省は同時期にPMへの取り組みを発表し、建設省はプロジェクトマネジメント研究会を発足後、公共事業へのPM手法導入の ビジョンを策定した。.先端建設技術センターは、PMI東京支部の設立を支援している。通産省(現 経済産業省)も、1999年よりPM導入の調査研究をへて、「プロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック」を発行し、ガイドブックに 基づく資格試験を2002年に開始した。.エンジニアリング振興協会は、1980年代から海外のPMに関する研究を重ね、1998年にJPMF(日本プロ ジェクトマネジメント・フォーラム)を立ち上げ、PMの啓蒙・普及に努めている。

 日本建築家協会では、建築家の業務に関する検討、顧客満足に関する調査を経て、1998年『CMガイドライン』を発行し、建築家のCM業務への関わりを定義付け、2002年の『PMガイドライン』の発行に至っている。
 また、1999年にはプロジェクトマネジメント学会が発足し、広い業種でのPMに関する学術的研究が行われている。

 

■ 2000年以降

 2000年になると国土交通省では、CM方式研究会を発足させ、海外調査を経て、 2002年に「CM方式活用ガイドライン」を発行した。その後、「CM方式導入促進方策研究会」を設置した。2001年には、日本コンストラクション・マ ネジメント協会(日本CM協会)が発足し、CMの職能団体として活動を開始した。国土交通省は、.建設業振興基金に委託して「CM方式導入検討委員会」を 設置し、日本CM協会の協力のもとに地方公共団体におけるCM方式導入の検討を行った後、2003年に「地方公共団体のCM方式活用マニュアル試案」を発 行し、CM方式の普及促進を図っている。また、2002年日本CM協会ではCM資格者制度の検討に着手し、2003年3月には「(暫定)日本CM協会認定 コンストラクション・マネジャー」の選定作業を経て認定し、CM資格者制度の本格的な運用の準備に着手した。