projectⅠすみだメディアラボ新築工事 CM業務
全国へ発信するメディア教育の拠点をパズル型マネジメントで実現
- ポイント1 官・民・学の意向をまとめ上げる統括的CMrの必要性
- ポイント2 プロジェクトの仕組みづくりに協力するCM業務
- 株式会社アクア マネジメント第1本部
チーフマネジャー 時田 海士郎
テーマ1発注者がCMrに求めたことは?
発注者である「学校法人電子学園」は1951年の創業以来、産業界が求める教育を展開し、人材を輩出し続けており、現在もなお時代の先を見て、世界を視野に入れながらいち早く社会のニーズに対応し続けています。今回は電子学園が運営している専門職大学の別館の新築による、地域活性化と新たな教育コンテンツの創出を目指したプロジェクトとなります。
計画地である墨田区が構想している“キャンパスコモン整備事業”の一角にテレビスタジオを計画することで、民間放送局との共同運営を目指したプロジェクトです。
そうした中で、建設発注行為の推進・技術支援と官・民・学の意向をまとめ上げるCMrの存在が必要とされました。
依頼を受けてCMrがまず必要だと感じたのは、プロジェクトに対して横断的に関与しながら仕組みづくりに協力するCMr体制でした。特色・性格・文化の異なる官・民・学の“想い”を施設に変換するには、プロジェクトの中心に立つCMrの力量が試されます。
三者それぞれの強みを活かし、弱みを補完できるように、発注者の限りなく近くに寄り添いながらも、常に四方に手が伸ばせるようなCM業務の推進が求められました。
テーマ2CMrが立てた目標は?
官・民・学の協力体制構築
官(地域活性化)、民(新たな情報発信機関の開局)、学(教育コンテンツの創出)、それぞれの目標は本プロジェクトの場合、個別に実現できるものではなく、官・民・学が強固に協力しながら、“タッグ”を組んで設計・施工を推進する「“想い”をぶつけ合って生み出される形」により達成されると考えました。
縦横無尽のマネジメント
プロジェクトに横断的に関与しながら仕組みづくりに協力するためには「縦横無尽のマネジメント」を実行する必要がありました。
- 縦のマネジメント(発注者間の調整)
- 横のマネジメント(各種技術者間の調整)
- 時間軸のマネジメント(進捗に合わせた柔軟な関与)
まずは必要なマイルストーンを把握し、発注者と共有してプロジェクト目標を照らし合わせることで業務スコープを決定してゆきました。
テーマ3CMrがとった手法は?
官・民・学のコミュニケーション円滑化と技術補完
本プロジェクトにおける最大の特徴は、官・民・学、三者の結束の上に施設が成立する点にありました。文化・慣習・知識の質・発注のやり方などあらゆる点において意向の異なるこの三者だからこそ、通常のプロジェクトよりも意思疎通が特段に重要となります。
また、地域活性化・教育コンテンツの創出に向けた大学の別館であるテレビスタジオという独特の施設推進については、“不慣れ”な事態による、品質・コスト・スケジュールなどにおいての技術的な“見落とし”が生じやすい課題がありました。
CMrが三者の強みを引出し活かす、“パズル型”マネジメントを実施
そこで、コスト・スケジュール・品質に加えてマンパワーを時間軸と共に一元化し、リスク排除を主軸とした全般に渡る支援を行う手法をとることにしました。
具体的には“各種スキームの作成と管理”の実施です。通常はこの作業をCMrが淡々とこなす、という流れになりますが、本プロジェクトの目標は「官・民・学の協力体制構築」にあったことから、施設が完成するまでに“想い”がこぼれ落ちないように、三者の強みを活かし、弱みを補完することを意識していました。さらに三者合同プロジェクトの円滑な推進のため、CMrは足りないピースが何かを見極めて補完する“パズル型”マネジメント手法を実施しました。
<コスト>
【コストマネジメント】
■リアルタイムで予算書管理- PJ予算書を作成し、事業予算を提案
- 設計から施工の全フェーズにて常に予算を見える化、期間中10回程度CMrが予算を調整(精算見積では予算内で契約)
- 予算との照合に必要な見積の妥当性検証を概算、精概算、精算、施工中増減2回の計5回実施。発注方式は設計施工の1社特命。高止まりの懸念があったため、概算時にはCMr側でも概算書を作成
<スケジュール>
【スケジュールマネジメント】
■一貫して徹底したスケジュール管理- CMrに情報を集約させ、プロジェクトの中心に立ちマイルストーンを制御
- 工事費合意スケジュールを日割り作成
- 全てのタスクを見える化し、関係者に共有することで一切の手戻りを排除
- 各種会議体の設定や主体的な参加
- 打合せ期間が空く際は備忘録を関係者に送付し、関係者間での意思疎通のタイムラグ発生を抑制
- 問題発生時には迅速なサポートでリスクの最小化
<品質>
■品質担保に必要な契約内容の確認- 発注者要求品質の達成に向け、各種契約書の内容を詳細に確認
- 発注者視点で、設計者、施工者、各種工事業者と協議を随時実施
- プロジェクト内の各社の複雑な契約状況をCMrが一元化し、時系列を整理
- 情報共有のタイミングを分析し、要望書などで関係者に根回し
- 発注/設計/工事/維持管理区分の明確化
- 建設協力金と連動した区分の構築で、竣工後の維持管理フェーズにおけるトラブルリスクの徹底排除
- 建設協力金スキームとプロジェクト費用の関係を見える化
- 維持管理区分整理も含めて、官・民・学の役割分担を位置づけ
テーマ4発注者の評価は?
三者協定により、“官・民・学で協力タッグ”の達成
三者が協力してタッグを組んだ結果、新たなコンテンツ創出の達成はもちろん、建物品質的な観点でも達成度の高い施設となりました。小規模ながらも、大学の別館として周辺施設との機能的調和が求められた本施設は、放送局としても価値のある建物となっています。
総合的なPJ運営のサポートと施設の品質に高評価
お客様である、学校法人電子学園 ご担当者様より以下のお声をいただきました。
「映像スタジオでありながらも、教育施設の両方の役割を持つ施設であるという特性をご理解いただき、計画当初より発注者、利用者、建設会社など関係各社の間に入り、細やかな調整を行っていただいた事で関係者だけでなく、地域の方や業界の方からも「いい施設ですね」とお褒めの言葉をいただく素晴らしい施設を作ることができました。コロナ禍もあり、リアルタイムで様々な課題、変更や要望が発生する中、適切な判断ができるよう、総合的にプロジェクト運営をサポートしていただけたと感じています。墨田から、地域や世界に誇れる施設を一緒に作っていただき感謝しています。
■プロジェクトデータ
<プロジェクト情報>
- 【名 称】すみだメディアラボ新築工事 CM業務
- 【所在地】東京都墨田区
- 【種 別】新築 / 非住宅建築
- 【CM業務委託者】学校法人電子学園
- 【CMr】株式会社アクア
- 【CM業務契約期間】2020年3月~2022年5月
- 【CMrの選定方法】特命
- 【CMrの参画時期】事業構想段階、基本計画段階、基本設計段階、実施設計段階、工事発注段階、工事段階
- 【設計・施工の発注形式】設計施工一括
- 【設計者の選定方法】特命随意契約
- 【施工者の選定方法】特命随意契約
- 【設計・施工者の選定時期】事業構想段階
<CM業務内容>
- 【全般】発注者の目標・要求の確認と更新、プロジェクトの推進と管理、設計者・施工者・監理者の選定・発注、プロジェクト構成員の役割分担の明確化と更新、プロジェクト情報管理、プロジェクトにおけるリスクについて説明、CM業務報告書の作成
- 【事業構想・基本計画】事業構想、基本計画
- 【基本設計でのマネジメント】基本設計の方針検討、基本設計への支援と確認、基本設計図書等の内容の確認
- 【実施設計でのマネジメント】実施設計の方針検討、実施設計への支援と確認、実施設計図書等の内容の確認
- 【施工でのマネジメント】工事施工準備、工事施工、竣工・引渡し