”あなたは駅前の敷地に、大学の活動拠点でありかつ地域交流のスペースともなる施設を設計することになりました。延べ床面積は1500~2000㎡、二階建て、構造形式に指定はありません。施設内にはセミナールームやスタジオ、ミニシアター、レストランなどを適切に配置し、また屋外には地域に開かれたオープンスクエアを設け、駅との関係を考慮しながら、敷地全体をうまく活用することを求められています。”
”あなたは意気揚々と設計作業を開始しますが、直後にプロジェクトを取り巻く以下の状況が見えてきました。まず、学長の肝いりで始まった本プロジェクトではありますが学内での関心は低く、また一部の教員と副学長はこのプロジェクトに強く反対をしており、開館後の利用率の低さや高い維持費に不安を持っています。また、経営企画部が試算した全体事業費はかなり見通しが甘く、建物以外の事業費項目もきちんと把握されていません。レストランについては、その立地から大学生協はあまり関心を示しておらず、営業主体については全く見通しが立っていません。オープンスクエアについても、現時点で実際どういう使われ方をするのか不明であり、また興味を示している地域の団体は現時点では全くいません。さらに、敷地を調査したところ、土から微量の汚染物質が検出され、その処理費用や除去にかかる期間は現在調査中とのこと。”
さて、あなたはこの状況にどう対応しますか?
このような問いかけからスタートしたこの特別講義は、筆者が所属するアソシエイト委員会が主催となり、学生のアソシエイト会員を増やすことを目的として、2020年の12月に関西大学環境都市工学部建築学科において開催されました。アソシエイト委員会では、公共団体の職員や企業内でファシリティー関連部門に所属する人などを主な対象としてアソシエイト会員への勧誘を進めてきましたが、CM業界の未来を担う学生に対してもしっかりとCM協会の活動を発信し、CM業界を知ってもらうことを今年度からの新たな方針として追加しました。その第一弾の企画として実施されたのが、この特別講義となります。
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