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巻頭言

CM協会およびCMの拡大発展を託して

日本CM協会
会長
川原 秀仁

CM協会およびCMの拡大発展を託して今後の協会およびCMを担うみなさまにバトンを繋いでいくにあたり、お伝えしたいことを述べさせていただきたいと思います。

CMが主要都市部で市民権を得て、建設産業の中でも一定の存在度を獲得したのは、2010年代後半頃だったと認識しています。2014年の公共工事品確法改正がその大きな原動力となったことは間違いありません。民間事業でも、旺盛な建設需要とともにCMの必要性が発注者の間に定着していった感がありました。

さあ、これから全国へのCM普及を!と臨んでいこうとした時に、同時にやってきたのが、世界を揺るがす惨事となったコロナ禍パンデミックでした。まさに会長を承った2020年の総会は、出席者数を制限し、全員マスク着用の短縮版で実施されました。その後3年間にわたり、コロナ禍はこの日本を席巻し続けました。

ただ、災いでしかないように思われたこの惨事も、CMにとっては追風となるような大変革をもたらしてくれました。オンライン会議を常態化させ、正常時に戻ってもハイブリッド会議を含めこの基本体系が当たり前となり、プロジェクトを推進していく上での「ファシリテーション」と「情報ハブ」機能、すなわちCMrの役割そのものがクローズアップされたことです。この現実を協会としてしっかり受け止め、この機能を進化させていくことができれば、CMを大きく拡大発展させることができると確信しています。まさに「災い転じて福となす」です。(改訂されたCMガイドブック第4版でも言及されています)

一方で建設需要は、コロナ禍以降であっても堅調に推移し、産業全体の繁忙状況は現在も続いています。私個人は、この状況は2050年くらいまで続くと思っています。それは、公民問わず高度成長期以降に整備されたインフラ・建築物が償還を迎え、それらの再構築があと25年くらい続々と控えているからです。もちろん、デカップリングによるサプライチェーン再編、大容量対応の情報通信・電力・物流網整備、観光大国化のためのインフラ・施設整備、人口8千万~1億人に向けての都市・地域再編、等と合せて実践していく必要があります。これを、ピーク時の7割の就業者・技術者数と8割の法人数で対応していかなければならないのです。

その解決には、マネジメントとIT・DX双方による効率化で対応していく以外に良策はないと思います。LLM(大規模言語モデル)の登場でより身近になったAI等を取り入れたデジタル(IT・DX)技術と、上記CMの神髄であるマネジメント機能を駆使したアナログ技術を両輪で推進していく世界を、ぜひ協会として追及していってほしいと思います。

CMの未来は間違いなく明るい!と私は信じていますし、エールを贈り続けたいと思います。