メルマガ担当より
プロジェクトをご担当された株式会社日建設計の高様よりコメントを頂きました。
Q:
「和」と「洋」、「伝統」と「革新」という相反する要素をまとめるには、高い技術力とクオリティマネジメントが必要と思います。
特に、海外関係者来日時の50名を超える「デザイン会議」というのは、想像しがたい大変さと思います。独自のホテルコンセプトへ昇華させるためにご苦労されたエピソードなど、特に気をかけたことをお聞かせいただけないでしょうか。
A:
相反する要素をまとめ上げていくプロセスは、高級ブランドホテルでは常に生じています。外資系大手ホテルの場合は、ホテルチェーンが非常に強固なブランドイメージ、ブランドコンセプト、展開マニュアルを持っており、それを羅針盤に様々なデザイン要素をまとめていきます。
一方で、今回のプロジェクトでは、日本初進出かつ場所ごとの地域性を取り入れる「エースホテル」というブランドのため、マニュアルがない中で手探りのコンセプト作りが求められました。
「独自性の高いライフスタイルホテルの実現」という目標達成に向けて特に重視したのは、主要な関係者の、特に初期段階での徹底的な議論です。エースホテルCEOや建築デザイン担当の隈研吾氏、インテリアデザイン担当の米国のコミューンデザイン、事業者、設計者、PMによる対面議論を幾度も重ねる中で、木組みの建築デザインとエースホテルらしい気取らないインテリアデザインが融合したロビー空間など、主要な骨格が固まっていきました。
その他、廃材を再利用した内装材や伝統工芸技術を利用した照明設備など通常の施工者の責任範疇では取扱いが難しい材料も使用しています。このような方針にまで発注者を含む、全関係者が積極的に議論するプロセスがあったからこそ、目標を達成できたのだと思います。
このプロジェクトを通して、CM業務において全関係者が積極的に議論することがいかに重要かを実感できました。今回のお話も、メルマガをご覧になっている皆様にとって、CMの意思決定をマネジメントする立場としての責任を感じられる貴重なものであると思います。
高様、ご回答ありがとうございました!
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