CM選奨2021審査総評

CM選奨2021は、28件の応募総数となり、前年度までに引き続き盛況を重ねている。
今年度はCOVID-19の影響でオンラインによる審査会の開催を余儀なくされたが審査委員各位の最大限のご協力と事務局の多大なるご尽力により、無事に審査を一貫して行うことができた。2020年12月2日の第1回審査会では、募集要項、審査方法及び応募案件の募集要件適合を確認の後、各審査員による応募案件の書類審査を開始した。その結果を持ち寄って、2021年1月16日に第2回審査会を開催し、各応募案件の評価点を決定した。その結果上位16件をCM選奨候補とし、うち6件について、最優秀賞・優秀賞・特別賞の候補としてヒアリングを行うこととした。同2月17日に第3回審査会を開催し、オンラインによるヒアリングを行った後、最優秀賞1件、優秀賞2件、特別賞2件の各賞候補を決定し、理事会に報告することとした。
今回応募のあった案件は、前年度までにも増して一層多角化・多様化が進展し、施設の運営段階までを見据えた事業構想の支援、プロジェクトの要求の明確化、調達方式の開発・支援等広範囲に及んでいる。いわば「CM方式」という表現だけではカバーしきれないほど、CM業務の対象領域は拡がっていることを実感させられる。もちろん施工関係業務（分離発注に係る契約管理、スケジュール、コスト、統合等）のマネジメントという原点としての業務領域の重要さは今も減じていないが、一方で発注者支援に関する業務の拡がりは、わが国におけるプロジェクト運営の環境の複雑さを示唆していると思われ、今後一層のニーズの増大が予想される領域であると言える。もちろんこうした「拡大するCM業務」には、発注者の支援の要請に応えることはもちろんだが、さらに発注者支援を通じてユーザー、地域社会そして産業界を含む全ての「公共」への的確な貢献が求められているわけであり、アカウンタビリティの確保等専門家としての社会的責任の確立がより一層重要となってきていると思われる。

CM選奨審査委員会　委員長　　平野　吉信