合格者インタビュー

堀口大樹さん
建築設計会社/積算・コストマネジメント業務に従事/40代

「CM選奨」を読み込んで【能力試験】に対応、
実務経験が少なくてもCMrの立場を理解できた

大手ゼネコンで積算業務に携わった後、建設工程の上流にも関わりたいと考え建築設計会社に転職した堀口さん。コストマネジメントの視点から設計段階に参加した経験はあるものの、いわゆるCM業務の実務はほとんどなかったといいます。どのように【能力試験】を乗り越えたのかお聞きしました。

積算士の知識で「社内のCMr」として活動

コスト面から本当に貢献したいと思うと、出来上がった図面から見積書を起こす段階では何もできません。もっと上流のマネジメントや設計にも関わりたいと考えて、ゼネコンから建築設計会社へ転職しました。今は積算士の視点から社内でマネジメントを行う業務が増え、今後は外部でもマネジメント業務を提供できるように会社の体制が変わってきました。認定CM資格の取得は必要に迫られて取り組んだ感じです。

CM実務経験は少ないのですが【能力試験】の論述はよく書けたので「合格したな」と思っていたんです。しかし1回目は不合格。「何がダメだったんだろう」と考えて、新たに対策し直しました。

2回目の試験勉強、「CM選奨」から要点抽出

不合格の原因として、まず思い当たったのは積算士の視点で考えすぎたことでした。与えられた課題に対して、コスト管理の面ではよく書けていたんですが視野が狭すぎる。CM業務で求められるスキルや思考は異なります。もっと全体像を俯瞰し、その上で「どんな問題点があるか、解決策が提示できるか」を探らなければいけない。大事なのはCMrの役割を理解することだと考えました。

進めるべき建設プロセスについてCMrの立場や役割をよく考えることが重要で、そこを掴めば解答となる論述が書けそうです。私の場合、業務でのCM経験は少ないので資料から要点を掴もうと考えました。このときに活用したのが日本CM協会が提供する「過去のCM選奨」データと、国土交通省が提供する「CM方式活用事例集」データです。

これらの資料はA4サイズ1枚に1物件の要点がまとめられています。1つ1つ読みながら、CMrが果たしている役割は何かを自分なりに考えて要点を書き出しました。通して読み込むと「CMとしてクリアしなければいけない部分はここか」「こういう点が問われるのかな」と共通項がイメージできます。論述ではそれを踏まえ、「CMrがどんな立場で、どんな役割を果たさなければいけないのか」を意識して書くようにしました。

勉強して「立場を理解した」こと自体に価値がある

2回目の受験に向けて、日常業務でも「CMrだったらこうするだろう」というアンテナが結構立ったので、その思考も合格につながったかもしれません。「認定CM資格試験として書いてほしい内容」を知るために、2回目は「過去問講評」も読み込みました。『CMガイドブック』は、まだ仕事で使っていない用語の確認で参考になります。実際の業務で専門用語に出合っても、試験対策で覚えていてスムーズに会話が進んだこともありました。

試験勉強の一番の成果は「CMrの立場を理解したこと」だと思います。設計やコストマネジメントの立場でプロジェクトに参加したときも、外部からCMrが参加しているケースが結構あるんです。なぜそうするのか、以前より彼らの立場や役割をより詳しく理解できるようになったのは大きいですね。極端にいえば、合否とは別に「CMの勉強ができたこと自体」にかなりの価値を感じています。

積算士の視点なら「こうすればいい」と簡単にいえることでも、CMr視点を得て発注者の立場を考慮すると解決法が変わりますし、さまざまなアイデアを吟味する発想が生まれます。中立的立場や説明責任に伴う振る舞いもCMの勉強から意識するようになったので、今回受験してよかったです。