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これからの社会とCM(第11回)

座談会 第三次・担い手3法とCM③

日本CM協会機関誌『CMAJ』では80、81号の2号にわたって企画特集「第三次・担い手3法とCM」と題して、2024(令和6)年6月にそれまでの「新・担い手3法」が一体的に改正された「第三次・担い手3法」について、80号では国土交通省の髙橋様に、81号では施工者(ゼネコン)として株式会社安藤・間の酒井様、CMr(CM会社)として株式会社山下PMCの村田様にお話をうかがいました。最終回の今回は80、81号にご登場いただきました皆様に一堂にお集まりいただき、座談会形式で「第三次・担い手3法」の影響とCMrのあるべき姿を探っていきます。

(『CMAJ』編集委員 宇津橋喜禎・佐藤学)

国土交通省 不動産・建設経済局建設業課 入札制度企画指導室長 髙橋 信博 (たかはし のぶひろ)
株式会社安藤・間 首都圏建築支店 常務執行役員支店長 酒井 喜壽 (さかい よしひさ)
株式会社山下PMC 取締役 専務執行役員 村田 達志 (むらた たつし)
日 時
2026(令和8)年1月14日(水)10:00~11:30 建築会館 3階306会議室
出席者
髙橋 信博(国土交通省 不動産・建設経済局建設業課 入札制度企画指導室長)
酒井 喜壽(株式会社安藤・間 首都圏建築支店 常務執行役員支店長)
村田 達志(株式会社山下PMC 取締役 専務執行役員)
宇津橋 喜禎(うつはし きよし)(日本CM協会常務理事『CMAJ』編集委員/㈱建設エンジニアリング/進行・聞き手)
随行
佐藤 学(さとう まなぶ)(日本CM協会理事『CMAJ』編集委員/阪急コンストラクション・マネジメント㈱)
北野 隆啓(きたの たかひろ)(日本CM協会『CMAJ』編集委員/㈱山下PMC) 

改正の目的とポイント

ー2024(令和6)年に公布された、「第三次・担い手3法」(改正公共工事品質確保促進法(以下、公共工事品確法、令和6(2024)年に施行済)、改正公共工事入札契約適正化法(以下、入契法)および改正建設業法(以下、建設業法))が2025(令和7)年12月12日に全面施行されました。最初に国土交通省髙橋様に、改めてその目的とポイントについてお話しいただきたいと思います。

座談会風景座談会風景

髙橋2024(令和6)年6月に、建設業法と入契法等の一部を改正する法律「第三次・担い手3法」が公布され、3段階で順次施行されてきました。
 そして、
1.受注者に対する不当に低い契約代金による請負の禁止
2.受注者に対する著しく短い工期による契約締結の禁止
3.建設工事の見積書に記載すべき事項の明記、通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回る見積り・見積り変更依頼の禁止等
4.入札金額の内訳書に記載すべき事項の明確化等に係る規定
 以上の4点が施行されたことで、「第三次・担い手3法」が全面施行されたことになります。
 この法律の目的は、建設業の働き手の処遇改善、働き方改革、生産性向上などの取り組みを総合的に進めることによって担い手を確保していくこと、そして建設業の持続可能性を高めていくことです。この法律により賃金の原資となる労務費の行き渡り等を進めていくための様々な取り組みが、制度として確立されたと考えています。

ー「第三次・担い手3法」の中で2024(令和6)年12月に施行された「おそれ情報の通知」や「請負代金変更方法」の契約反映について、「契約変更条項の有無」や「変更協議の申し出」はどのような状況でしょうか。

髙橋これは2024(令和6)年の改正部分にあたりますが、賃上げの原資となる労務費を行き渡らせるための取り組みの一環です。私ども国土交通省では建設業の働き方改革を推進する観点から、昨今の資材高騰が著しい状況を踏まえ、「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」として、受発注者双方( 建設会社と民間発注者)にアンケートを実施しました。
 建設会社向けのアンケートでは、
①元請工事の契約における物価等の高騰に関する条項の有無
②物価等の影響を受けた工事における注文者に対する変更契約協議の申し出状況を確認しています。
 その調査結果では、契約変更の条項がある請負契約は約6割という結果でした。これは2023(令和5)年の調査では、契約変更の条項のある請負契約は約50%だったのが、1年後の2024(令和6)年の調査で60%を超えており、取り組みを進めていく中で一定の進捗が見られました。
 また、発注者に対して変更契約協議の申し出を行ったが応じてもらえなかったという回答も1割ありました。契約変更の条項や記載、変更協議の申し出は進んでいますが、一方で応じてもらえない割合も決して低くない状況ですので、引き続き国土交通省としてもこの取り組みの周知・普及徹底を粘り強く進めていきたいと考えています。

ー今の髙橋様のお話を受けて、施工者である安藤・間の酒井様にうかがいます。例えば、「おそれ情報の通知」は見積り時、契約時にどのような形で実施され、実際のプロジェクトの期間中にどのように運用されていますか。また、請負代金の変更方法、いわゆるスライドルールについてもうかがえますでしょうか。

酒井「おそれ情報」は、見積りの提出時に条件書もしくは別紙にて提出し、査定時に各営業担当に必ず指導するようにしています。「第三次・担い手3法」に関しては、まだ勉強不足の営業担当も多いですが、その都度指導することで、だいぶ浸透してきました。建設物価調査会が公開している資料をもとに、建設物価指数の過去の上昇率を利用して、見積提出期間からの工事期間を考慮し想定金額を提出しています。特に工期が2~3年にわたるプロジェクトでは、最初から発注者と協議して年度ごとに精算するように進めています。

髙橋 信博氏髙橋 信博氏

ー今の酒井様のお話をもとに、山下PMCの村田様、貴社で実際にCM業務をされているプロジェクトでの施工者も同様でしょうか。

村田当社で参画していて、直近1年くらいの発注フェーズを迎えたプロジェクトで確認したところ、「おそれ情報」が通知されているケースはあまり多くないという結果で、なかなかまだ浸透していないと感じます。また提示されているケースでも、請負契約の添付資料という形ではなく、あくまでも見積りでの条件書として出されているのが一般的です。
 逆に請負代金の変更方法については、大半のプロジェクトで規定されています。先ほどの髙橋様のお話では約60%ということでしたが、我々の参画している案件ではそれよりもかなり広がっているという感触があります。記載内容は一様ではありませんが、現状は国土交通省のスライドルールに準じた形で定められているものが多くなっています。

ー髙橋様がお話しされたことと、今実際の現場の状況を施工者、CMrにうかがいましたが、同じような状況・認識だとわかりました。

髙橋そうですね。契約変更の条項があることが、5割から6割くらいに上がったところですから、実際そこから発動されたかどうかはまだはっきりわからない状態です。まずは制度として変更条項を定着させて、その上で必要に応じて発動していくことが重要だと考えております。

村田もともと公共発注者はスライドルールがありましたが、民間発注者は「決めたのだから変わらないだろう」ということがベースにありました。そうすると、その後立ち行かなくなっていきますので、民間発注者にとってもルールを決めておいたほうがいいという方向に変わってきていると感じます。

■「入契法」の改正

ー次に「入契法」のお話をうかがいます。公共工事の入札契約制度の中で、今回の「入契法」改正で大きく変わった点を、髙橋様、教えていただけますでしょうか。

髙橋1点目が、入契法第12条の規定により、入札金額の内訳書に記載するべき事項が明確化されました。これまでは入札契約の内訳の細目を定めていませんでしたが、今回の改正によって、材料費・労務費および当該工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために必要不可欠な経費その他当該工事の施工を目的とした必要な経費の内訳の明示を求める目的として細目を規定しています。また、国土交通省令で労働者の適正な施工を確保するための必要な経費を定めることになっていまして、具体的には、省令にて法定福利費の事業者負担部分や安全衛生経費、そして建設業退職金共済契約にかかる掛け金も明示することになりました。
 2点目は、入契法第13条で公共発注者は、提出された書類の内容の確認等、必要な処置を講じると現行制度で規定されていますので、具体的な細目が出てきたときに、それをどうやって確認するかがポイントになります。様々な確認方法がありますが、特に今回の改正を踏まえて労務費をしっかり確認するための1つの手法として労務費ダンピング調査を実施していただきたく、「労務費ダンピングを防止するための公共発注者向けのガイドライン」も2025(令和7)年12月に取りまとめて公表しております。労務費ダンピング調査の具体的な内容や内訳のフォーマットの参考になる内容を、このガイドラインに記載していますので、これらを活用して公共発注者の皆さまには取り組みを進めていただきたいと考えております。

■「建設業法」改正のポイント

ー今回2025(令和7)年12月12日に施行された「建設業法」の改正は、いわゆる現場で頑張っている技能者の方々の労務費にかなり焦点を当てた法改正と思われますが、「建設業法」の改正のポイントについて、髙橋様、お話しいただけますか。

髙橋基本的には、請負契約を一部修正して必要な経費を確保することが、今回の改正の根底にある考え方であり、特に労務費がすべての技能者の方々に行き渡ることをポイントにしています。請負契約なので、受領した金額の中でうまくやりくりすることが伝統的な考え方だと思いますが、その中で労務費をしっかり賃金として行き渡らせるために、不当に削られることがないようにという発想のもとに改正をしています。その中で建設業法では受注者に対する不当に低い請負代金による契約締結を禁止していますが、これまでは発注者のみに禁止されていた行為を、元請施工者など上位の施工者から下位の協力会社に不当に低い金額で発注することのないように、通常必要と認められる原価に満たない金額での請負契約の締結はしてはならないということが1点目の改正点です。
 2点目は、受注者に対する著しく短い工期での契約締結の禁止を規定しています。これも今までは発注者に対してのみの禁止事項でしたが、今回の改正では受注者についても「当社はこのくらいの工期でも請負えます」というように、受注者自らが著しく短い工期を提示することを禁止しています。
 3点目は、建設工事の見積書に記載すべき事項を明記すること、通常必要と認められる額を著しく下回る見積りや見積依頼を禁止する規定をしています。
 材料費等の記載見積書についても、通常必要と認められる額を著しく下回る金額への変更依頼が禁止されますし、そういった契約を施工者と行った発注者に対しても建設工事の適正な確保を図る必要がある場合には、監督官庁からの勧告の対象にもなります。

ー建設業法の改正は、公共工事だけではなく民間工事も含めた全ての工事が対象であり、当然民間発注者も含まれることになりますね。現場の実態や、施工者としての取り組みについて、酒井様いかがでしょうか。

酒井労働者の処遇改善という点では、長時間労働はかなり改善されていると思います。特に現場の4週8閉所については、かなり定着し、民間の発注者にも理解いただけるようになってきました。ただ、発注者より工期がずいぶん長くなったという話しも出ています。労務費についてはかなり改善が見られていますが、やはり4週8閉所、さらに祝日を休みにすると、単純に計算して15~20%の労務費をアップしなければならなくなりますので、さらなる改善が必要かもしれません。協力会社との会議で、皆様からそのような要望がかなり出ています。
 また資材高騰が続いていますが、これによって労務費が圧迫されないように、協力会社との適正な価格設定や追加変更の協議に応じています。また、昨年の夏は特に暑かったため、生産性がかなり落ちてしまいました。今後は月ごとの労働時間ではなく、年単位で考えて、例えば夏季は少し仕事量を減らし休日を増やして、気候の良い時期に就労日を増やし、年間の労働日数を確保しながらやっていくような柔軟な考え方も必要かと感じています。

ーリモートの朝礼も実施されているのでしょうか。情報が伝われば効果は同じですね。

酒井問題がないか、労働基準監督署( 以下、労基署)にまず確認を取って実施しています。生産性の向上という点では、最近現場の協力会社の皆様はタブレットを利用したITツールを活用しています。

ー村田様、今のお話を受けて山下P M Cが関わられているプロジェクトでの施工者の状況はいかがでしょうか。

村田当社が関わっているプロジェクトの施工者については酒井様からお話のあった、労働者の処遇改善や働き方改革、生産性向上への取り組みについては積極的に進められている状況だと認識しています。いずれの取り組みも施工者サイドの所掌なので、我々CMrが直接的にできることはあまりありません。できるところとしては長時間労働の改善の点があります。事前にCM側で工程検討をするタイミングで、その時の条件として4週8閉所だったり、今の市況の中での妥当な工程を、直近の工程計画の参考事例をもとに算出することに配慮しています。今後生産性向上に向けたDX、AIの活用、ロボティクスなどの取り組みについても、設計施工のプロポーザルや、総合評価方式での提案の評価対象に取り込んで促していくことも必要になってくると感じています。

■「材料費等記載見積書」の作成が努力義務化

ーさらに、建設業法の改正の中で、第20条で「材料費等記載見積書」の作成が努力義務化されましたが、発注者側に望まれる対応について、髙橋様にうかがいたいと思います。

髙橋労務費をしっかりと行き渡らせる中で、国土交通省では中央建設業審議会において労務費に関する基準を策定し、公表していますが、それも参考にしながら本当に必要な額を著しく下回ることがないかどうかを、建設業法第20条第4項に基づいて、内訳を明示した見積書の提示を発注者から受注者(施工者)に対して求めていただきたいと考えています。あくまでもこの労務費に関する基準は相場感ですので、まずは確認していただくことを理解していただき、これが定着していけばと思っています。これまで労務費をチェックする際に、わが国では全産業での最低賃金という形で見てきましたが、それだけでは十分に行き渡っていない実態を踏まえて、今回の建設業法等の改正では、労務費の相場となるような基準を作りました。それ以下であれば駄目であるという厳格なものではありませんが、1つの参考・目安にしていただいて、ある工事でかかる労務費がちゃんと行き渡るかどうかを見える化するために、各段階においての労務費を見ていくようにしています。先ほど公共工事では「入札金額の内訳書」を紹介しましたが、民間工事においては「材料費等記載見積書」を活用していただきたいです。その中で労務費が見えてきますので、ぜひとも発注者の方には労務費を行き渡させる意義を理解し、まずは内訳を明示した見積書を確認していただきたいと思います。労務費に関する基準と厳格に照らし合わせることは今後の課題ですが、まずは見える化について各発注者の方々に取り組んでいただきたいと考えています。

ー受注者(施工者)側がしっかりと見える化された明細を出して、それを当然発注者側も見ることが求められる。けれども現状はまだ厳格な義務ではないということですね。

髙橋そうです。受注者(施工者)側も労務費をしっかり明示しなければならないという慣行が根付くことで、請負契約の中でいただいた分を行き渡らせるのではなく、必要な分をもらうことに努力をしていただき、発注者にもそれを理解していただくということです。受注者・発注者両方から変えていく必要がありますし、これは一朝一夕にできることではありませんから、粘り強く行政も取り組んでいかないといけません。

ー今の髙橋様のお話を受けて、酒井様に3点の質問させていただきます。1点目は材料費・労務費などを分けて記載した「材料費等記載見積書」作成の努力義務化にあたり、2026(令和8)年以降の見積方法について、どのような対応を予定されていますでしょうか。全ての工事においての対応は難しいでしょうし、また対応に要する手間や費用も増大するのではないでしょうか。その部分をどのように考えていらっしゃいますか。
 2点目が、個別の職種分野の「労務費の基準値(案)」が示されていますが、これらの基準を適用した場合、工事費について現状より上昇するか下降するか、もしくは大きな変動はないか、そのインパクトについて施工者の立場からうかがいたいです。
 3点目が、工事費が上昇する可能性が高い場合、進行中のプロジェクトにおいて、発注者に対してコスト増の交渉を働きかけるといった取り組みも考えられるでしょうか。

酒井 喜壽氏酒井 喜壽氏

酒井まず躯体工事に関しては、歩掛りをもとにした材料費・労務費の単価構成を明確にして代価を作成して対応する予定です。民間発注の建築プロジェクトでは、現状は材料費と労務費を分けた見積書を作成していませんが、今後は作成していかなければならないと考えています。各団体でつくられている標準見積書や、我々と協力会社との間で契約している材工分離・法定福利費別出しの契約を利用しながら材工分離の独自の見積書を作成し、ダブルスタンダードで進めていくことになると考えています。
 建設キャリアアップシステム(以下、CCUS)のレベル別年収が我々の中ではベースになっていますが、理想的な年間労働日数と言われている234日で単純に計算すると、レベル1の標準値にしても、2次、3次の協力会社の方々が受け取っている賃金がまだ足りないのではないかと思われます。ですから今後の改正によって工事費が現状より上昇するのではないでしょうか。
 賃金が足りない原因は、労働日数が減っていることがかなり大きく、今後、特に長期プロジェクトにおいては、発注者に対して物価スライドと同様に交渉しなければならないと考えています。その時に労務費上昇の根拠を提示しなければなりません。そこで設計労務単価を標準の労働日数で割り出すとこのくらいの金額になるというような資料を作成する必要があると考えています。

ー今の酒井様のお話を受けて、髙橋様いかがでしょうか。プロジェクトが長期になればなるほど物価スライドの影響を受けやすいと考えますが、長期間にわたる工事や進行中のプロジェクトに対して契約締結以降に労務単価が高騰した場合、発注者は協議に応じる義務があるのでしょうか。

髙橋今は物価が高騰していて資材もだいぶ高い状況にありますので、建設業法では施工者が請ける工事において、見積時点で価格が高騰すると予見され、認められる場合については、請負契約の締結までに通知することが努力義務になっています。この通知をした施工者が、契約締結後に本当に価格が高騰した場合には、契約変更の条項に基づいて協議を申し出ることができます。申し出があった場合は正当な理由がある場合を除いて、発注者は誠実に協議に応じなければならないという努力義務が課されています。つまり、こういった場合には発注者は公共であれ、民間であれ協議に応じていただくことが原則です。
 もう1つの場合として、事前に価格高騰のおそれの通知がなされていなかった場合でも、労務単価の急激な高騰が発生することも考えられます。そういう場合には、契約締結後に当初は予見されていなかった労務単価の高騰に対して、事前に通知があった場合と同様に契約の変更が契約書に位置付けられている際の変更方法に基づいて変更協議がなされることを期待しています。変更協議を事前に位置付けることを定着させることが、重要だと思っています。
 実際に労務費が上がった場合、発注者の方の立場もありますが、正当な理由がなく変更協議に応じていただけない場合には、発注者の方が建設業法違反になるおそれがありますので、注意していただきたいです。

■周知活動と実効性の確保

ー「第三次・担い手3法」が昨年12月に全面施行されてまだ1か月しか経過していませんが、おそらくまだ知らない発注者がたくさんいらっしゃると思います。この周知の取り組みや実効性の確保策について髙橋様、お話しいただけますでしょうか。

髙橋「第三次・担い手3法」は賃上げの原資となる労務費をしっかり行き渡らせることが主目的であり、そのために作成した労務費に関する基準が実効性を持って運用されていくことが非常に重要だと思っています。
 将来的に公共工事・民間工事共に仕事を取るときに労務費を削って優位な価格競争に持ち込んではいけない、あくまでも価格競争は技術面で行って、労務費は削ってはいけないものだと発注者・受注者両方に理解していただくために政策を進めていく必要があると思っています。今後、さらに発注者と受注者の相互理解、パートナーシップが進むことが重要ですし、そういった意味で仲介役になられるCMrには改正法の趣旨を理解して活躍していただくことを期待しています。
 周知活動については全国で改正建設業法に関する説明会を実施することや、通知を発出する取り組みを進めていますが、建設業界は非常に裾野が広く、多くの関係者がいらっしゃるため、国土交通省としても粘り強く周知を広めていることをご理解いただきたいと思います。
 また、実効性の確保に関しては、契約段階での適正な労務費の確保と、実際支払われるかどうかの2つの側面が必要です。契約段階での確保策を我々は「入口の対策」と呼んでいますが、ここでは見積書の作成普及や、ちゃんと賃金を支払うことを、発注者もしくは元請会社が自主宣言して取り組まれることが必要です。あとは国土交通省の建設Gメンによる調査なども必要になってくると思われます。また、「出口の対策」はなかなか難しいところがあります。実際にもらった労務費が賃金にどう転換されていくのかを見ていかないといけませんし、CCUSのレベル別年収を尺度にしながら実際に労務費がどう払われていくのか見ていく取り組みを進めていく必要があると思っています。また、国土交通省直轄工事に対しても、賃金確認の手法が取り込めないか、モデル事業的な試行も始めていますので、さらにそのような取り組みの具体化を進めていこうと思います。さらに、コミットメント制度を活用し、適正な労務費を支払うことを契約の中に明記する取り組みも必要だと思っています。

村田今、我々も労務費の基準や運用方針を読み込んで理解しようとしているところですが、入口の実効性確保という観点から我々が懸念することは「内訳の開示の程度感」です。内訳の開示という意味合いが、全体工事費に対して労務費の総額を出すことなのか、労務費の各細目の数量×歩掛かり×労務費の内訳を出すことなのか、これらのどちらを求められるのかで大きな違いがあります。
 労務費の運用基準を見ている限り、発注者と元請会社の関係の中ではそこまで詳細な内訳開示は不要であり、そうなると工事費全体に対しての労務費総額を開示することになります。けれども総額で入っていると、労務費が設計労務単価を確保できているのかを確認することが発注者にとって難しいものがあります。CMrとしても詳細内訳が出ていないと判断が難しい。そこの実効性確保にどういう形でCMrが貢献できるのかは、これからやりながら見つけていくしかないと考えています。

髙橋我々も細目で数量と単価がわかるように出していただくことが根付いていくことが理想だと思っていますが、実際に導入するにあたり、総額からでないとなかなか難しい面もあります。今は、発注者と元請会社との関係では、総額の中で労務費の見える化を図っていただく目的で政策をまとめているところです。ただし、もちろん細目で見ないとわからないのはその通りですから、最終的に細目の方向を目指しながら、我々も「アジャイル」と言っていますが、まずは総額から始めていく。その後、どこまでできるのか優良事例なども検証しながら展開していければと思っていますし、この取り組みも引き続き、入口の対策、出口の対策にブラッシュアップしていきますので、ぜひCMrの皆様も最新の状況や情報を把握して、ご理解とご協力をいただきたいと思います(図-1)。

図-1図-1

■コミットメント制度への取り組み

ー適正な労務費・賃金の支払いを確保するための施策の1つとしてコミットメント条項があります。これは義務化されてはいませんが、公共発注者、民間発注者、施工者はどのように取り扱えばよろしいのでしょうか。

髙橋実際に1 人ひとりの賃金にも労務費が行き渡ったかどうか見られれば理想ですが、なかなか難しいのが現状です。契約当事者間において信頼関係のもとにしっかり労務費を行き渡らせることを具体化するために策定したのがコミットメント制度であり、労務費・賃金を適正に支払うことの表明や情報開示への合意に関する条項を建設工事標準請負契約約款に導入するものです。公共発注者には公金を使っているために、様々なところで説明責任が発生します。そういった意味でも活用していただけることを期待しています。民間発注者の方もどうしてそれだけの労務費が必要になったのか、株主などの関係者への説明責任やコンプライアンスの観点から説明が必要になると思いますので、適正な労務費の授受が行われていることを確認する意味でも、この制度を使っていただく意義があると思っています。
 さらに施工者については発注者から受領した労務費を、協力会社、雇用する事業者すべてにきちんと支払っている会社だと、発注者に対しての信頼性をアピールするメリットにもつながります。そういった意味で公共も民間も元請会社だけでなく協力会社も含めて信頼性向上のためにも活用していただくことが望ましいと考えています。

ー実際のコミットメント制度について酒井様に安藤・間での取り組みをうかがいたいと思います。いかがでしょうか。

酒井発注者に対しては「協力会社に適正な水準の労務費を支払うこと」、また協力会社に対しては「組下の協力会社に適正な水準の労務費を支払うこと」という責務を明確にしていかないといけないと思っています。全国建設労働組合総連合(全建総連)からも2次、3次業者の支払い単価について、元請会社が確認し指導するように要請がありますが、現状は1次業者への指導にとどまっています。今後はより前向きに、現場で働いている技能者の人たちに適正な単価で労務費が支払われているかどうかを考えていかないといけないと思っています。

ー日本の建設業界が歴史的にかなりの重層構造で成り立っていますから、現場で働いている皆様に対して適正な労務費を行き渡らせることは、これからの大きな課題だと思います。
 村田様はコミットメント制度についてはどのようにお考えでしょうか。

村田入口の部分で、労務費の基準に応じて適正な労務費を支払うことが発注者に課せられています。コスト増になって、発注者に対して請求額の増加が必要になってくる事例も出てくるかもしれませんが、発注者側からすると当然、元請会社に支払う以上は協力会社や労働者に対してちゃんと労務費を支払っているのか確認させてほしいという意向があるでしょう。そういう意味でもコミットメント制度は必然であると考えています。ただ、実際運用する際にうまくいくのかどうか疑問なのは、発注者と元請会社でまず契約を結ぶ時に1次協力会社がまだ決まりきっていない、また2次協力会社がまだ了承してくれるかわからない状況下で元請会社がコミットしなければならなくなってしまうのではないでしょうか。意思表明はできるとしても、現実的に法務相談などをされた時にコミットできるものなのか疑問に思っているところです。そういうこともあって、今は義務ではなくてあくまでも「活用が適切である」という表記にとどまっているのかと感じています。
 我々CMrができることは、発注者と一緒に発注条件をつくることで、その際どこまで義務化できるかを考えなくてはなりません。おそらく法令通り「適切である」となると、各社の対応にばらつきが出ます。ばらつきが出た時に、それをどう受け止めるのか、発注者・C M rにとって悩ましいところがあります。C M rとしてはそれを義務付けるべきなのか、何らかの加点をして促すべきか、自主判断にお任せして評価対象にしないのか、というあたりの判断をしていく必要があると考えています。真面目にやった会社が損をするようなことは望ましくありませんので、そのあたりの扱いについては状況を見据えながら考えていきたいと思います。

村田 達志氏村田 達志氏

■適正な賃金体系を

ーここでもう少し、昨年12月に施行された建設業法改正の内容に掘り下げたいと思います。今回は特に建設コストに関する踏み込んだ法改正になっています。「第三次・担い手3 法」における建設業法改正の労務費についてこれまで議論の中に出てきましたが、中央建設業審議会内の「労務費の基準に関するワーキンググループ」で1 年以上にわたって労務費について議論されてきました。その中で、労務費に関する基準が、公共工事・民間工事問わず元請会社の取引だけではなく、協力会社の取引、すべての契約について適正な労務費、賃金の原資を確保するために、レベル1 ~ 4 まであるCCUS別年収に準じて個々の現場の労務者の経験や技能に応じた適正な賃金体系をベースに積算された契約でなければならないというものです。
 ここで酒井様に安藤・間での元請取引、協力会社との取引の現場の実態と今後予想されることについて改めてうかがえますか。

酒井以前は発注者と契約した後に、協力会社を何社か選んでその中で安いところを選んでいましたが、現在は、取組段階で協力会社とプロジェクトごとにどのように施工すればよいのかを協議し、工期と施工方法を決めてそれを見積りに反映して、発注者に提示する形に変わってきています。つまり、発注者と先に金額を決めてから協力会社を決めるのではなく、ある程度協力会社を確保しながら進めていくのが近年の状況です。逆に協力会社を確保できなければ、我々も請負ことができません。

ー国土交通省としても、プロジェクトに関わっている元請施工者だけでなく協力会社も含めて早い段階から賃金について打ち合わせしてプロジェクトの参加を決めたりすることで、適切な労務費が支払えることがあるべき姿とお考えなのではないでしょうか。

髙橋そうですね。国土交通省としては元請会社には、プロジェクトの早い段階から協力会社と信頼関係や工事方法を構築していただくことが、労務費に限らず品質確保や安全性の面も含めて、望ましいと思っています。もともと公共工事品確法の趣旨でも、早い段階、契約前から元請会社にもコミットしていただくことが、非常に望ましいとされていますので、今、酒井様のお話をうかがって、だんだん変わってきたことは国土交通省としてもありがたく、先駆的だと思いました。

ー一方で、発注者が受注者から基準を下回る水準の労務費の見積りを受け取った場合の発注者側の対応について、髙橋様にうかがいたいと思います。いかがでしょうか。

髙橋なかなか難しい問題がありますが、著しく低い場合には、建設業法の見積違反や、ダンピング受注のおそれがあることになりますので、注意していただきたいです。ただしそのことで、契約行為が委縮されることがないように国土交通省としては配慮していかないといけないと思います。もしかなり低い額で見積りが出てきた場合、発注者はまず受注者に意図を確認した上で、不適正であると考えられるときは国土交通省の「駆け込みホットライン」( 建設業法違反通報窓口)等を活用していただければと思います。受注者側が基準を下回る水準の労務費等を記載して材料費等見積書を作成し、それを受け取ったとしても、発注者に作為義務が生じるわけではありません。また、発注者が当該見積書に記載された価格をもとに請負契約を締結したとしても、当該契約の効力に影響を与えるものではありません。

ー実際C M 会社では安すぎる見積りに関して、発注者に対しては、この内容に関してはヒアリングをしたほうがいいというアドバイスをするなどの対応を取っていると思います。法律化もされていますから、それをさらにしっかりと確認してほしいということでしょうか。

髙橋そうですね。発注者側も「建設業法違反になるからどうしよう」という不安もあると思いますので、そういったところもCM会社のノウハウを使って、著しく低い見積りやダンピングのおそれがないかチェックをしていただければと思います。

ー前8 1 号の村田様のインタビューでは、労務費に対する基準が示され、著しく低い労務費での発注が禁止されると、さらに工事費の上昇が懸念されるといったお話がありました。私自身も全く同様の印象を持っています。法改正からまだ1 か月ほどですが、山下PMCが取り組まれているプロジェクトの現在の状況はいかがでしょうか。

村田「第三次・担い手3法」が公布された2024( 令和6 )年6月以降における元請会社の対応状況として、その前後で極端に大きな変化はまだ感じられません。物価上昇のルールなどは我々のプロジェクトではこの制度化以前からなるべく入れるようにしていましたので、大きな変化があったとは感じていません。
 ただ、発注者側の意識は随分変わった印象があります。物価上昇に対する価格協議に応じてくれるケースが増えてきていると元請会社からも聞きます。我々も発注者に理解してもらいやすくなってきたという実感があります。労務費の基準に関する施行後の影響についてはまだ1 か月ほどなので、現状大きな変化は見られませんが、今後どういった影響が出てくるか注視していきたいです。
 また、ここ数年で工事費が大幅に高騰し、高止まりしている状況です。発注者も同様だと思いますが、なぜこれだけ工事費が上がっているのに賃金が行き渡らないのかと疑問に思うところもあります。いずれにしても、こうした工事費上昇の局面において、今回の労務費の基準の施行がどのような影響を与えるのかといった点についてもCMrとして、今後注視していく必要があります。

座談会風景座談会風景

■国土交通省、施工者、CMrヘの期待

ー最後に、髙橋様には施工者とCMrに、酒井様には国土交通省とCMrに、村田様には国土交通省と施工者に期待することをうかがえればと思います。また、日本CM協会に対してのご意見・要望も併せてお願いします。

髙橋先ほども申し上げましたが、今回の建設業法の改正の趣旨は、建設業の担い手を確保することと、産業としての今後の持続可能性を高めることです。そのためには、他の産業と同等の賃金確保や処遇の改善を行い、遜色のない処遇を確保する環境を構築する必要があるので、賃金を原資とする低価格競争が行われる状況をやめていく方向に大きく舵を切っています。施工者の皆様には技能者の処遇が確保される価格設定や、生産性の高さを競う健全な競争環境の中で仕事をしていただきたいですし、技能者の処遇改善に取り組む事業者が不利にならない競争環境の構築についてもご理解とご協力をいただきたいと思います。そういう中で特に元請会社は、工事全般に発注者との請負契約のやり取りや工期に関して協力会社に影響するような大きな権限がありますので、協力会社を含めて適正な契約の締結や工期の設定、労働条件にご理解いただき、その取り組みを進めていただきたいと思っています。
 また、CMrの皆様には、本改正を受けた新たな取り組みの中でもこれまでの知見を生かしていただきたいと思います。特に今、資材費の高騰の中で人件費も高騰しています。さらに時間外労働規制の罰則適用も始まってから3年目になりますし、全国的に見ますと地方公共団体の技術者不足も問題になってきています。このように建設業をめぐる状況は厳しい局面が多岐にわたり、CM業界の皆様に活躍・貢献していただける場がこれからもっと増えてくると考えられますので、ますます取り組みを多様化していただければと思います。
 そういう中で、国土交通省としては建設業法の施行について、アジャイルに改善していく部分もかなり多いと申しましたが、我々も情報を開示いたしますので、その点にも注目いただいて、更新された取り組みや進捗状況をご理解いただき、情報をアップデートしていただきながら、それを民間の事業者も含めてCMrから助言し先導していただけるとありがたいです。
 特に「第三次・担い手3法」の全面施行ということで、今回様々な議論をさせていただきましたが、具体的には、公共発注者の入札金額の内訳書の適切な取り扱いや、適正な予定価格の設定もこの物価高騰の折にしっかりと実勢価格を設定していくことが求められています。それらを中心に引き続きご理解とご協力をいただきたいと思います。

酒井働き方改革の時間外労働規制の罰則適用が2024(令和6)年から始まっている中、実際に閉所もかなり進んでいますし、残業の上限もかなり守られています。公共工事設計労務単価は2013(平成25)年の改定から13年連続で引き上げられ、2013(平成25)年の平均で約1.9倍になっています。実際に13年前の単価と比べてみましたが、だいたいその通りになっていますし、公共工事設計労務単価は民間工事に携わる我々としてもベースになっていると感じています。
 その中で労働日数、労働時間がどのくらい減ったかを協力会社にヒアリングするとやはり15~20%不足しているのではないかという声が聞かれます。働く日数や時間を増やすわけにはいきませんから、これを補うには単価を上げるしかありません。それが我々の予想です。2024(令和6)年3月の公共工事の設計労務単価比で、2026(令和8)年労務単価の改定では15%くらい上がらないと追いついていかないのではないでしょうか。労務費が現場で働いている皆様に行き渡るためには標準となる単価を、もう少し上げなくてはなりませんし、我々も支払わないといけないと考えています。
 国土交通省にお願いしたいのは、我々施工者の中では、そのような取り組みはかなり浸透しています。ところが民間の発注者の中には、労務費や資材費が上がっていると協議をしても、そういうことは協力会社と話をつければいいのではないかと言う方もいます。そういう発注者に対しては、今は法改正もあって昨年12月12日から施行されているとお話しさせていただいています。かなりの数で認識している方もいらっしゃいますが、まだ認識されていない発注者もいらっしゃるので、ぜひ働きかけをしていただきたいと思います。
 CMrの皆様には発注者の代行業務として、第三者の立場で、労務費上昇のこともありますが、「担い手3法」、つまり建設業が持続可能であるための担い手を確保しなければならない状況を作ろうとしていることを理解していただけるように働きかけていただけるとありがたいです。
 「何をしてはいけないか」「こういうことをするべきだ」とたくさん公開されている中でもわかりやすく書かれているものもありますので、それを用いて発注者に対して説明をしていただきたいです。現在の建設業界が直面している課題や、担い手の確保に向けた取り組みについて詳しく説明し、発注者がこの法律の意義を理解できるような情報提供をお願いします。

村田CMrとしては発注者に法改正の理解を深めていただくように促していくことが、発注者の一番近くにいるプレイヤーとして最も重要なことだと考えていますから、そこはしっかりと進めていきたいです。
 国土交通省へのお願いとしては、今回の法改正の意図について、説明会やポータルサイトでもかなりわかりやすく示していただいていますが、ボリュームが結構あるという印象があります。私自身、通知文も含めてなかなか全部の文書は読み込めていない状況ですが、内容も「義務です」「努力義務です」「適切です」といくつかの表現に分かれています。つまり、どこまでこうすべきであるのかわかりにくい状況の中で、受け手側の裁量に委ねられているところもあるように感じます。それらの理解が深まるように、発注者、受注者が「絶対にやらなければならないこと」「できればやってほしいこと」「ねらい」などをわかりやすく示していただけると、皆様に浸透していきやすくなるのではないかと思っています。CMrとしてもそれを伝えていきたいと思います。
 施工者の方々にお願いしたいことは、情報の非対称性の解消ということで、おそらくもう取り組んでいらっしゃるかと思いますが、全ての施工者が全てのプロジェクトで根拠の開示を積極的にしてくださるかというと、まだそこまではいっていないように感じます。見積書の内訳、見積情報の開示、見積条件、おそれ情報、物価上昇時の根拠などについて、できるだけ発注者にわかりやすくて納得できるようなものを示していただければと思います。だからと言って全部飲み込んでもらえるものではないかもしれませんが、根拠を示していただくことで、スムーズに進めることができるものがあると思います。
 プロジェクトの建設費が一時期の2倍くらいになっているものもあります。一般的な物価上昇率や公になっている建築費の指数では説明がつかないことで、一般の発注者にとっては納得しがたい状況が続いているように感じています。ですから元請会社も説明に苦慮されているのではないでしょうか。「選別受注、協力会社の担い手の不足に伴うプライスとしての価格」と言ってしまえばそれまでですが、発注者が建設業界に対してある程度納得していただけるようにするためにも、建設業界全体として取り組んでいく必要があると感じています。

ー日本C M 協会の常任理事でもある村田様に、CM協会としての立場でひと言お願いいたします。

村田CMrには建設プロジェクトにおいて発注者を支援して、プロジェクトを牽引していく役割がありますので、協会会員に向けて今回の法改正を踏まえてCMrとして取るべき行動、発注条件として盛り込んでいく内容を発信していく必要があると考えています。見積り形式がどうあるべきか、コミットメント条項を付すべきかなど、発信できる状態まで整理するにはまだ時間がかかるかもしれませんが、まずは協会内の理事会や委員会などで議論し、それをそれぞれのCMrが関わっているプロジェクトで少しずつ発注者にも伝えて、発注者に浸透していければといいと思っています。
 また、今回の法改正の影響が、実際のプロジェクトの中でどのように現れてきているか、各プレイヤーからどのような声が挙がっていて、どのような課題があるのかという情報を集めて、日本CM協会として国土交通省にお伝えしたり、協会内で情報共有して発信したりしていきたいと思います。

ー日本CM協会には約2 , 0 0 0 者の会員がいますが、会員会社でもまだきちんと理解できているところは多くないと思います。今回の法改正は非常に重要ですので、会員である我々がまず意識を持って学んで、先導して発注者に伝えていき、施工者の方々からも発注者や協力会社に話していただく必要があります。皆で相互に学び協力して、発注者をはじめとした関係者に伝えていければと思います。
 皆様、本日は貴重なお時間を頂戴して、ありがとうございました。

関係者全員での記念撮影関係者全員での記念撮影