CMr オピニオン「四方よしのCMを目指して」

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四方よしのCMを目指して

株式会社ヤジルシ建築設計事務所
代表取締役
山田 祐希

独立してCMという業務を行うにあたり、どういった姿勢で業務にあたるかは悶々と悩み、模索する日々が続いている。

私の前職は組織設計の設計者であったが、周囲のCMに対するイメージは頗る悪いものであった。「あら捜しでつるし上げて点数稼ぎ」「ちゃぶ台返しで自分の爪痕を強引に残す」「現実にそぐわない提案を行い始末は他任せ」と、発注者の顔色伺いや得点稼ぎだけの責任感のない行動への不信感であり、そういった印象を持つ方は少なくない。

ただ、僕自身のCMへの印象は異なるものであった。とあるプロジェクトで設計者側としてCMと協業することがあったが、そこでCMはコスト管理は勿論のこと「施主のイシューの掘り下げ」「設計者、施工者、デザイナーの関係調整」「各位相互に言いづらい事の説明」等、プロジェクトが施主の望む最終形に潤滑に向かう様に体を張って推進に努めていた。

その結果、施主だけでなく施工者・設計者各位の信頼関係構築ができていた。勿論、衝突することもあったが、最後は大団円で完成を迎え、今なお施主含めた関係者で同窓会を行える「戦友」にまでなった。

知人が「CMとは三方よしではなく、四方よしでないといけない。」と述べていたが、まさしくその通りで、「売り手」「買い手」「世間」「未来」の中心に立ち、四方位よしでプロジェクトを捌けるかがCMに求められており、前述の様な悪評を打ち払い各位からの信頼を勝ち得ていく必要があると考える。

CMが果たすべき役割を果たせば四方よしの素晴らしい成果を残せる実例を知っているからこそ、それを目指したい。

四方よしを目指し、CMとしてのバランス感や立ち振る舞いを自問自答しながら模索する日々が続いている。