CMrオピニオン「対話力と対応力」

CMrオピニオン

対話力と対応力

株式会社安井建築設計事務所
マネジメントビジネス部
市岡 一浩

株式会社安井建築設計事務所 マネジメントビジネス部 市岡 一浩私は、組織設計事務所の意匠設計者として約20年間様々なプロジェクトに携わった後に、インハウスのCM部門として現在のマネジメントビジネス部に異動し、14年目を迎えて活動しています。

意匠設計時代は、食品工場、警察署、駅ビル、海外案件といった建物用途を経験してきました。CM時代は、CM選奨を頂くことになる「市立吹田サッカースタジアムプロジェクト」に参画いたしました。ここでは、前例のない寄付金によるスタジアム建設というチャレンジングなスキームで、プロジェクトでは様々な経験をさせていただきました。その後は、本社ビルCM、城郭の復元支援、ボートレース場の活性化支援、給食センターCM等の業務に向かいあってきました。

業務を経験する中でもっとも感じたことが、「対話力と対応力」です。

CM業務における「対話力」は、多くの関係者(事業主、設計者、施工者等)の意見を丁寧に聞き取り、CMが道筋を整えて、関係者に分かりやすく伝え、共通認識と合意形成を図る能力と考えます。円滑なコミュニケーションは、プロジェクト目標の共有と協力体制構築の基盤となり、潜在的な課題やリスクの早期発見、関係者間の齟齬防止にも不可欠です。

一方「対応力」は、計画変更や予期せぬ課題発生時に、冷静に状況を分析し、迅速かつ適切な解決策を見出し実行する能力と考えます。代替案提案、工程調整、コスト高騰などに備えたVE/CD提案、発注戦略などにより、変化への柔軟な対応が必須です。

良好な対話は課題発生時のスムーズな情報共有と協力体制を促し、迅速な対応に繋がります。複雑に高度化する建設プロジェクトにおいて、高いレベルの「対話力と対応力」は、プロジェクト成功の鍵となる重要なスキルと考えています。