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プロジェクトレポート

projectY1(ハイパースケール・データセンター)新築工事におけるCM業務

日本最大級規模のデータセンター
キャンパスの
コア&シェル

  • ポイント1 仕様やスケジュール、コストを含めたフィットアウト事業者との連携
  • ポイント2 日本の安全基準より厳しい社内のGMRs (Global Minimum Requirements Framework -環境・安全衛生に関する最低要求事項)をプロジェクトに適用
本間 正悟
本間 正悟
  • レンドリース・ジャパン株式会社 建設部
  • シニア・プロジェクト・マネジャー本間 正悟

テーマ1発注者がCMrに求めたことは?

自社開発案件であり、弊社グループ(以下、レンドリース・グループ)と機関投資家が共同出資した特定目的会社を発注者とした、日本最大級の規模であるハイパースケール・データセンターをビルド・トゥ・スーツ型により建設したプロジェクトである。レンドリース・ジャパンはデータセンターのコア&シェルのコンストラクション・マネジメントを受託した。レンドリース・グループにとっては日本における開発建設プロジェクトの第1号案件であり、今後の投資・開発・建設事業における試金石と位置づけた

CMrオピニオン

播種

株式会社 梓設計
CMソリューション 部長
中村 幸嗣

日本経済新聞の記事によると、「この10年の日本企業の変化で際立つのは、若手従業員の減少だ。30代以下の構成比率は規模の小さい企業が直近で3割を切っており、大きな企業も4割に満たない。」とのことです。(出典:企業の中高年比率7割 「老い」への対処が賃上げ持続条件 - 日本経済新聞

私もこの「中高年比率7割」に含まれているわけですが、CM業界を見渡すとその傾向がより顕著だと実感します。勿論、少子化や建設業界全体の人材不足が背景にありますが、若い人材・企業が減少すると、産業の活力が低下し、新陳代謝や改革が停滞してしまうのだそうです。

私見ですが、CM業界は設計・施工などの他業種からの転職・異動者や中途採用が多く、比較的人材の流動性が高い業界だと感じています。そのため、ある程度の新陳代謝は保たれているのかもしれません。一方で、日本建設業連合会の統計によると、「新規学卒者の建設業への入職者は減少が続いてきたが2009年の2.9万人を底に増加に転じ、2023年には4.0万人と2017年以降4万人台を維持している。」(出典:4. 建設労働 | 建設業の現状 | 日本建設業連合会)とのことで、建設業全体では一定数の新卒採用を維持できています。ただし、会社説明会や新卒者の面接を通じて感じるのは、CMrという職種がまだ若い世代に十分認知されていないということです。

確かにCMrには幅広い知見と経験が求められ、若い人材には敷居が高く感じられるかもしれません。しかし、充実した教育・育成の機会を提供することで、この課題は解決できるはずです。若い世代にとっても魅力的な業界となるよう、協会の活動などを通じて、この業界を新しい人財に紹介する機会を増やしていければと考えています。

CMrオピニオン

対話力と対応力

株式会社安井建築設計事務所
マネジメントビジネス部
市岡 一浩

株式会社安井建築設計事務所 マネジメントビジネス部 市岡 一浩私は、組織設計事務所の意匠設計者として約20年間様々なプロジェクトに携わった後に、インハウスのCM部門として現在のマネジメントビジネス部に異動し、14年目を迎えて活動しています。

意匠設計時代は、食品工場、警察署、駅ビル、海外案件といった建物用途を経験してきました。CM時代は、CM選奨を頂くことになる「市立吹田サッカースタジアムプロジェクト」に参画いたしました。ここでは、前例のない寄付金によるスタジアム建設というチャレンジングなスキームで、プロジェクトでは様々な経験をさせていただきました。その後は、本社ビルCM、城郭の復元支援、ボートレース場の活性化支援、給食センターCM等の業務に向かいあってきました。

業務を経験する中でもっとも感じたことが、「対話力と対応力」です。

CM業務における「対話力」は、多くの関係者(事業主、設計者、施工者等)の意見を丁寧に聞き取り、CMが道筋を整えて、関係者に分かりやすく伝え、共通認識と合意形成を図る能力と考えます。円滑なコミュニケーションは、プロジェクト目標の共有と協力体制構築の基盤となり、潜在的な課題やリスクの早期発見、関係者間の齟齬防止にも不可欠です。

一方「対応力」は、計画変更や予期せぬ課題発生時に、冷静に状況を分析し、迅速かつ適切な解決策を見出し実行する能力と考えます。代替案提案、工程調整、コスト高騰などに備えたVE/CD提案、発注戦略などにより、変化への柔軟な対応が必須です。

良好な対話は課題発生時のスムーズな情報共有と協力体制を促し、迅速な対応に繋がります。複雑に高度化する建設プロジェクトにおいて、高いレベルの「対話力と対応力」は、プロジェクト成功の鍵となる重要なスキルと考えています。

巻頭言

CM協会およびCMの拡大発展を託して

日本CM協会
会長
川原 秀仁

CM協会およびCMの拡大発展を託して今後の協会およびCMを担うみなさまにバトンを繋いでいくにあたり、お伝えしたいことを述べさせていただきたいと思います。

CMが主要都市部で市民権を得て、建設産業の中でも一定の存在度を獲得したのは、2010年代後半頃だったと認識しています。2014年の公共工事品確法改正がその大きな原動力となったことは間違いありません。民間事業でも、旺盛な建設需要とともにCMの必要性が発注者の間に定着していった感がありました。

さあ、これから全国へのCM普及を!と臨んでいこうとした時に、同時にやってきたのが、世界を揺るがす惨事となったコロナ禍パンデミックでした。まさに会長を承った2020年の総会は、出席者数を制限し、全員マスク着用の短縮版で実施されました。その後3年間にわたり、コロナ禍はこの日本を席巻し続けました。

ただ、災いでしかないように思われたこの惨事も、CMにとっては追風となるような大変革をもたらしてくれました。オンライン会議を常態化させ、正常時に戻ってもハイブリッド会議を含めこの基本体系が当たり前となり、プロジェクトを推進していく上での「ファシリテーション」と「情報ハブ」機能、すなわちCMrの役割そのものがクローズアップされたことです。この現実を協会としてしっかり受け止め、この機能を進化させていくことができれば、CMを大きく拡大発展させることができると確信しています。まさに「災い転じて福となす」です。(改訂されたCMガイドブック第4版でも言及されています)

一方で建設需要は、コロナ禍以降であっても堅調に推移し、産業全体の繁忙状況は現在も続いています。私個人は、この状況は2050年くらいまで続くと思っています。それは、公民問わず高度成長期以降に整備されたインフラ・建築物が償還を迎え、それらの再構築があと25年くらい続々と控えているからです。もちろん、デカップリングによるサプライチェーン再編、大容量対応の情報通信・電力・物流網整備、観光大国化のためのインフラ・施設整備、人口8千万~1億人に向けての都市・地域再編、等と合せて実践していく必要があります。これを、ピーク時の7割の就業者・技術者数と8割の法人数で対応していかなければならないのです。

その解決には、マネジメントとIT・DX双方による効率化で対応していく以外に良策はないと思います。LLM(大規模言語モデル)の登場でより身近になったAI等を取り入れたデジタル(IT・DX)技術と、上記CMの神髄であるマネジメント機能を駆使したアナログ技術を両輪で推進していく世界を、ぜひ協会として追及していってほしいと思います。

CMの未来は間違いなく明るい!と私は信じていますし、エールを贈り続けたいと思います。