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プロジェクトレポート

projectTHE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection
事業者の自主的な発注体制を実現するための支援業務

発注者と設計者とCMrとの三位一体による相乗効果

  • ポイント1 新ブランドホテルのプロジェクト進捗支援と予算管理
  • ポイント2 多くの関係者間での「人を大切にするマネジメント」と協力体制の構築
山田 功次
山田 功次
  • 株式会社安井建築設計事務所 マネジメントビジネス部長山田 功次

テーマ1発注者がCMrに求めたことは?

1874年に開業した初代大阪駅の跡地であり、また、旧大阪中央郵便局舎が2012年まで存在し、人々の記憶に深い場所。その地に新たに「JPタワー大阪」として誕生した建物に、ジェイアール西日本ホテルズがマリオット・インターナショナルとの初提携により出店したホテルである。

初代大阪駅の地において、その記憶を継承し、地域の歴史や文化を未来へ紡ぎ、新たな価値を提供する、唯一無二の時空を超える旅の基点として、ブランドコンセプトに「THE OSAKA TIME」を持つ。

1.国内外に愛されるホテル実現に向けたプロジェクト進捗の支援

本プロジェクトのブランドである、Autograph Collection(オートグラフ コレクション ホテル)は、マリオット・インターナショナルが展開する世界各地の個性あふれる独立系ホテルのコレクションであり、その実現に向けたホテルコンセプトとデザインの融合が最も重要であった。マスターインテリアデザイナーを中心に、客室エリア、パブリックエリア、宴会場エリア、スパエリアごとに、複数のインテリアデザイナーチームが構成された。これらのデザイナーによってマリオット・インターナショナルにデザインレビューを重ねながら、実施設計図書へ反映し、開業目標に向けた工事施工へとプロジェクトを着実に進捗させていくことが求められた。

2.プロジェクト予算管理とスケジュールを実現させること

2024年夏のホテル開業を目指したスケジュールマネジメントでは、先行するビル本体工事の工事工程に沿った適切な時期での工事発注計画と品質管理を行い、限られた建設予算内での工事完了とスケジュール管理を発注者が求めた最大のテーマであった。

プロジェクトレポート

project読売ジャイアンツ南山ファーム球場新築工事における
事業者の自主的な発注体制を実現するための支援業務

分離、コストオン工事発注項目の最大化による事業者メリットの創出

  • ポイント1 運営に関わる要素が多い工種について、ベンダー業者と球団との直接のコミュニケーションを円滑化し、仕様の正確な把握、それに伴うコスト圧縮を実現
  • ポイント2 コストオン工事、別途工事の責任区分の明確化による設計事務所と協力した現場管理体制
及川 直哉
及川 直哉
益子 直弥
益子 直弥
  • シービーアールイー株式会社 プロジェクトマネジメント及川 直哉
  • 益子 直弥

テーマ1発注者がCMrに求めたことは?

読売新聞東京本社、読売巨人軍、よみうりランドの3社が、東京都稲城市のよみうりランド遊園地に隣接するエリアで計画した「TOKYO GIANTS TOWN」(東京ジャイアンツタウン)の構想の核となるファーム球場建設のプロジェクトである。球場の他、水族館や飲食施設の建設と、地域に根付いた周辺開発を含めたプロジェクトであり、その第1フェーズとして球場建設の支援を行った。発注者としては、これまでの球団として行ってきた施設運営ノウハウを活かし、分離・コストオン発注による事業者が直接ベンダー業者とコミュニケーションをとることで仕様を把握し、運営の質を高めた発注方式をとることを望んでいた。同時に、建築費の高騰に対して、事業予算に見合うよう、より細やかな予算コントロールを望まれており、コスト管理のサポートするための業務をCM会社である弊社が受託した。

CMrオピニオン

門前の小僧習わぬ経を読み続ける

株式会社JR東日本建築設計
プロジェクト開発本部 事業推進部長
山下 健

(株)JR東日本建築設計は東日本旅客鉄道(株)のグループ会社です。私は、鉄道施設やエキナカ商業施設等の少し特殊な建築設計業務を経験した後に、親会社に出向し、発注者の立場を経験しました。駅ビル、ホテル、オフィスビル等の、収益施設の開発に対してCMを導入する動きが盛んな時期でした。設計事務所出身の私でしたが、CM業務を発注する業務に関わりました。各CM会社の業務は、玉石混合、幅広く、教科書通りの業務がない、人間力を必要とする業務だと感じる日々が続きました。

約3年間、数十件の開発案件にて展開される様々なCM業務を見続け、門前の小僧となった私は、出向から戻り設計事務所所属にて、CM業務を実施することになります。インハウスエンジニアや設計者との関係は工夫が必要なところですが、数百~数十万㎡まで、

大小様々な案件で習わぬ経を読み、15年以上が経過し現在に至ります。

ご存じの通り、過去の受注者間競争が働いた買い手市場から売り手市場に変化した現在「競争」から「共創」にシフトする方向性は、親会社の発注者との共通認識です。一方で、CMとして発注者の側に立つ意味や、求められるCMとしての役割も変容しています。

発注者や社内チームと議論し、自問自答を繰り返す日々に、CMrオピニオンの執筆依頼を受け、手元にある機関紙各号の執筆内容を再読しました。一歩先、認識齟齬の解消、インハウスのCMr、のりしろ、ひたむきさ評価、父の仕事、四方良し、等々、数多くの意見を持ち、CM業務に邁進する皆様がいることを改めて認識することが出来ました。これからも引き続き、門前の小僧習わぬ経を読み続けていく所存です。

CMrオピニオン

CMr視点をもつこと

株式会社NTTファシリティーズ
データセンターエンジニアリング事業本部
柳樂 和哉

私は現在、NTTグループの設計事務所に所属し、意匠設計を担当している。意匠設計が主な業務ではあるが、CM業務の一端も実施している。

発注者がNTTグループのどこか+設計者はNTTファシリティーズ、と「NTTグループ」としてのプロジェクトも多い。設計者ながらもNTTグループのことを考え、発注者的思考を持って物事を決めることも多い。まさにCM的な思考をしながら調整・課題解決を図っている。

また、NTTグループにいると、心構えの話だけではなく実際に発注者の立ち位置になることもある。グループ内の人事交流で発注会社側に異動することもよくある。先日も、あるプロジェクトの総合定例では、以前は自分の部下だった人が発注者側に座っており、進捗の報告をさせていただくようなこともあった。また他のプロジェクトでは、先月の打合せ

まで発注者として向いの席に座っていた人が、次の打合せからは設計者側で隣の席に座っていることもある。そんな状態なので、NTTグループの外から見たら発注者なのか設計者なのかよくわからず、設計者の立場を超えて、NTTグループとしての判断を求められることがある。

昨日の敵は今日の友という言葉もあるが、昨日の発注者は今日の同僚。発注者・設計者という二項対立ではなく呉越同舟とも言うように一つのプロジェクトに乗り合わせたら一丸となって進まないといけない。そんなときCMrとしての視点は役に立つ。意匠設計の視点を一旦遠くにおき、発注者に寄り添ったCMrの視点から同じプロジェクトを見渡すと違った判断が生まれてくる。CMr視点と意匠設計視点の複眼的な視点を持ちながら、NTTグループとして、より良いプロジェクトを社会に生み出していきたい。