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CM普及を目指した実態把握のための調査結果報告

一般社団法人 日本コンストラクション・マネジメント協会 会長 川原秀仁
国内調査研究委員会 委員長 小倉 哲

 

このたび、国内調査研究委員会が実施した会員所属企業へのアンケートにより市場調査結果がまとまりました。

・2020年3月末において、CCMJ資格者を有する会社 全341社にアンケートを送付。
 (昨年度・一昨年度は、CCMJ資格者を2名以上有する会社のみ対象)
・回答社数は昨年度の25社から、今年度は53社に倍増。
・回答社全体のCCMJ資格者数合計は685名で、2020年3月末資格者数 全1,163人のうち、
 約6割の資格者が所属する企業が行う2,400件以上の業務についてデータを取得。
・昨年度・一昨年度のアンケート調査項目を継続しつつ、3ヶ年分のデータが蓄積されたため
 分析項目を追加。

近年、日本国内においてCMの認知度が高まり、CMを活用する事業が増えている状況においてCM市場規模を把握する客観的な統計が求められています。そこで、一昨年度より市場規模把握のため新たに調査目的を整理し、官民問わず様々な発注者や広く建設業界関係者に対して、CM業の実情を正しく認知してもらうためにアンケート調査を実施しています。
今後も調査を毎年実施することにより継続的な市場動向の把握を行います。

 

アンケート結果から読み取れる特徴は以下の通りです。

① CM業務が増加・同等とした会社が8割超
CM業務を受託している会社は35社でした。CM業務の売上高は前年度よりも増加又は同等とする会社が8割を超えました。
※「CM業務の売上高」とは、ピュアCM業務の報酬を示しています。ER作成・各種調査業務は含みますが、請負工事金額、不動産取引等の仲介手数料などは含まない金額を調査しています。

CM業務の売上高(直近の決算期)の動向、前年度に対する増減

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② 小規模設計事務所等でもCM業務を実施
回答があった53社のうち「社員30人未満の設計事務所・積算事務所」7社の中でCM業務を受託している会社が6社あり、小規模設計事務所等でもCM業務を担っていることが把握できました。

CM業務受託実績のある会社数(会社属性別)

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 ③ 官庁・公共団体発注のCM業務が大幅増
CM業務の売上高の約8割は民間発注であるものの、官庁・公共団体発注のCM業務が、昨年度の22億円から、45億円に倍増しました。今後も官庁・公共団体でのCM業務発注の広がりが期待されます。

発注者別のCM業務売上高

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④ 「庁舎・事務所」が最も多く、次いで「文化・スポーツ施設」が多い
昨年度・一昨年度に引き続き、「庁舎・事務所」用途の売上高が最も多くを占めますが、昨年度の14億円から23億円に伸びた「文化・スポーツ施設」用途が2番目に多い用途となりました。

用途別のCM業務売上高

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 ⑤ 東京以外の関東圏及び九州でCM業務が継続的に増加
地域別では、東京を除く関東圏及び九州は3年連続でCM業務が増加しています。

地域別のCM業務売上高

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 また、今回のアンケートでは、土木系CM会社の回答数が少なかったため土木分野については充分な結果が得られませんでした。

第101回CMAJフォーラムが12月1日(火)に開催されました。

今回のフォーラムは、エーユーエム構造設計株式会社 ・ 株式会社まちもりの代表取締役 濱尾 博文様をお迎えし、『地方設計事務所の開拓エリア  ~ CMrと共に挑む新たな市場 ~ “ CM需要があるのに受ける人材がいない 地方こそ多くのCMrを必要としている ”』というテーマでお話をいただきました。

CM専門会社、設計事務所、総合工事会社関連所属の会員中心にweb配信ということもありこれまでにないほどの首都圏以外からの応募も多く253人の方にご参加いただきました。

講演内容は、激変する建築市場の波に揉まれる「地域密着型の設計事務所」は、実績と優れた設計手法だけでは勝負が出来ず、建設プロジェクト初期段階からのマネジメント能力を持たない限りやがて埋没していく運命にある状態に対抗する1つの手段として、社内でCMrを育てながらPJ企画から工事完成まで一貫して発注者目線で建設プロセスをマネジメントするという新たなビジネスモデルを実例とともにご紹介いただきました。

「地域密着型の設計事務所」でしか出来ない新たな建設市場が、皆さんの活動エリアにも沢山埋まっていることに気付いていただけたのではないでしょうか。

今回も積極的な質疑応答が行われ充実したフォーラムとなりました。

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講師に一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会 会長の川原秀仁様をお迎えし、東海支部主催の2020年第1回CM講演会が11月26日に名古屋市の伊藤建築設計事務所 LECホールで開催されました。コロナ禍での開催にあたり、感染予防を徹底しての運営となりましたが、25名の方に参加いただきした。

川原様から『あなたが感じている建設産業の変化は今後さらに加速する!あなたならどう行動しますか?-CMは止められない潮流になる-』という演題で講演いただき、CMの浸透状況と社会の変化をご説明いただいたうえで、これからのCMの可能性とさらなる普及をめざすために重要となる視点をご説明いただきました。従来の設計監理業務の延長のCM業務範囲ではなく、CM業務領域は大きく拡大しているとのご説明があり、受講者の皆様におかれましては大変刺激のある内容でもあり、有意義な時間になったものと思います。

引き続き、東海支部では、支部会員の皆様へのCM業務の普及発展、啓蒙を目的とし、講演会・研修会を企画してまいります。

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第1回CMセミナー(試行版)開催レポート

第1回CMセミナー(試行版)が12月8日にオンラインで開催されました。 CMセミナーは、CMrの知識取得・実践学習の機会を提供する双方向型のオンライン講座で、今回は178名の申込みをいただきました。円滑な運営にご協力いただき、ありがとうございました。

今回のCMセミナーは、日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社 事業性検討グループ ディレクターの小暮恒介様を講師にお迎えし、『CMrがサポートする発注者の事業計画 ~クライアントの事業価値最大化手法~』というテーマで講義をしていただきました。

講義では、保有資産活用と企業経営の関係性や、投資回収判断の指標、不動産証券化スキーム等に関する基本的な知識について講義をしていただきました。また課題演習では、投資回収の視点からの建替え・改修比較や、与えられた情報から投資額・収入・純収益(NOI)・NOI利回り・回収期間等を計算する演習を行いました。

課題演習にはチャットも活用し、また講義後もリアルタイムで質問を受け付ける等、双方向型オンライン講座のあり方のトライアルも兼ねての開催でしたが、受講者の皆様におかれましては有意義な時間になったものと思います。

引き続き、CMセミナーがより良い形となるよう今後とも試行していまいります。