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プロジェクトレポート

project「横浜シンフォステージ」開発プロジェクト

用途ごとに区分所有者が異なる!民間事業者5社による共同開発事業をCMrが徹底サポート

  • ポイント1 一気通貫! CMrをワンストップ窓口としたコンソーシアムの意思決定フローの確立
  • ポイント2 細かすぎる!区分所有建物における煩雑なコスト変動を精緻にマネジメント
押田 彩夏
押田 彩夏
  • 株式会社三菱地所設計
    コンストラクションマネジメント部
    コンストラクションマネージャー
    押田 彩夏

テーマ1発注者がCMrに求めたことは?

本PJは、みなとみらい21中央地区における、民間事業者5社(大林組、京浜急行電鉄、日鉄興和不動産、ヤマハ、みなとみらい53EAST合同会社)による共同開発事業である。開発建物「横浜シンフォステージ」は、地上30階、総延床面積18万㎡を超える、オフィス・ホテル・店舗等にて構成される大規模複合施設である。さらには、区分所有建物であることから、建物内に共用部・専有部が存在し、用途で区分される専有部ごとに、区分所有者およびPJ関係者が異なるという特徴がある。CMrは、民間事業者5社(以下コンソーシアム)によるPJ推進における、量的・質的マンパワーの補充を行うべく、本プロジェクトへの参画を求められた。

プロジェクトレポート

projectすみだメディアラボ新築工事 CM業務

全国へ発信するメディア教育の拠点をパズル型マネジメントで実現

  • ポイント1 官・民・学の意向をまとめ上げる統括的CMrの必要性
  • ポイント2 プロジェクトの仕組みづくりに協力するCM業務
時田 海士郎
時田 海士郎
  • 株式会社アクア マネジメント第1本部
    チーフマネジャー 
    時田 海士郎

テーマ1発注者がCMrに求めたことは?

発注者である「学校法人電子学園」は1951年の創業以来、産業界が求める教育を展開し、人材を輩出し続けており、現在もなお時代の先を見て、世界を視野に入れながらいち早く社会のニーズに対応し続けています。今回は電子学園が運営している専門職大学の別館の新築による、地域活性化と新たな教育コンテンツの創出を目指したプロジェクトとなります。

計画地である墨田区が構想している“キャンパスコモン整備事業”の一角にテレビスタジオを計画することで、民間放送局との共同運営を目指したプロジェクトです。

そうした中で、建設発注行為の推進・技術支援と官・民・学の意向をまとめ上げるCMrの存在が必要とされました。

依頼を受けてCMrがまず必要だと感じたのは、プロジェクトに対して横断的に関与しながら仕組みづくりに協力するCMr体制でした。特色・性格・文化の異なる官・民・学の“想い”を施設に変換するには、プロジェクトの中心に立つCMrの力量が試されます。

三者それぞれの強みを活かし、弱みを補完できるように、発注者の限りなく近くに寄り添いながらも、常に四方に手が伸ばせるようなCM業務の推進が求められました。

テーマ2CMrが立てた目標は?

官・民・学の協力体制構築

官(地域活性化)、民(新たな情報発信機関の開局)、学(教育コンテンツの創出)、それぞれの目標は本プロジェクトの場合、個別に実現できるものではなく、官・民・学が強固に協力しながら、“タッグ”を組んで設計・施工を推進する「“想い”をぶつけ合って生み出される形」により達成されると考えました。

縦横無尽のマネジメント

プロジェクトに横断的に関与しながら仕組みづくりに協力するためには「縦横無尽のマネジメント」を実行する必要がありました。

  • 縦のマネジメント(発注者間の調整)
  • 横のマネジメント(各種技術者間の調整)
  • 時間軸のマネジメント(進捗に合わせた柔軟な関与)

まずは必要なマイルストーンを把握し、発注者と共有してプロジェクト目標を照らし合わせることで業務スコープを決定してゆきました。

テーマ3CMrがとった手法は?

官・民・学のコミュニケーション円滑化と技術補完

本プロジェクトにおける最大の特徴は、官・民・学、三者の結束の上に施設が成立する点にありました。文化・慣習・知識の質・発注のやり方などあらゆる点において意向の異なるこの三者だからこそ、通常のプロジェクトよりも意思疎通が特段に重要となります。

また、地域活性化・教育コンテンツの創出に向けた大学の別館であるテレビスタジオという独特の施設推進については、“不慣れ”な事態による、品質・コスト・スケジュールなどにおいての技術的な“見落とし”が生じやすい課題がありました。

CMrが三者の強みを引出し活かす、“パズル型”マネジメントを実施

そこで、コスト・スケジュール・品質に加えてマンパワーを時間軸と共に一元化し、リスク排除を主軸とした全般に渡る支援を行う手法をとることにしました。

具体的には“各種スキームの作成と管理”の実施です。通常はこの作業をCMrが淡々とこなす、という流れになりますが、本プロジェクトの目標は「官・民・学の協力体制構築」にあったことから、施設が完成するまでに“想い”がこぼれ落ちないように、三者の強みを活かし、弱みを補完することを意識していました。さらに三者合同プロジェクトの円滑な推進のため、CMrは足りないピースが何かを見極めて補完する“パズル型”マネジメント手法を実施しました。

Sumida Media Labo.(メディア教育拠点)完成写真
Sumida Media Labo.(メディア教育拠点)完成写真
関係者・PJの隙間を埋める“パズル型”マネジメント
関係者・PJの隙間を埋める“パズル型”マネジメント

<コスト>

【コストマネジメント】
■リアルタイムで予算書管理
  • PJ予算書を作成し、事業予算を提案
  • 設計から施工の全フェーズにて常に予算を見える化、期間中10回程度CMrが予算を調整(精算見積では予算内で契約)
■概算段階から綿密な見積内容の妥当性検証
  • 予算との照合に必要な見積の妥当性検証を概算、精概算、精算、施工中増減2回の計5回実施。発注方式は設計施工の1社特命。高止まりの懸念があったため、概算時にはCMr側でも概算書を作成

<スケジュール>

【スケジュールマネジメント】
■一貫して徹底したスケジュール管理
  • CMrに情報を集約させ、プロジェクトの中心に立ちマイルストーンを制御
  • 工事費合意スケジュールを日割り作成
  • 全てのタスクを見える化し、関係者に共有することで一切の手戻りを排除
■プロジェクトの中心に立ち、関係者の能力を最大化
  • 各種会議体の設定や主体的な参加
  • 打合せ期間が空く際は備忘録を関係者に送付し、関係者間での意思疎通のタイムラグ発生を抑制
  • 問題発生時には迅速なサポートでリスクの最小化

<品質>

■品質担保に必要な契約内容の確認
  • 発注者要求品質の達成に向け、各種契約書の内容を詳細に確認
  • 発注者視点で、設計者、施工者、各種工事業者と協議を随時実施
■関係者の円滑な意思決定を促した、契約関係スキーム
  • プロジェクト内の各社の複雑な契約状況をCMrが一元化し、時系列を整理
  • 情報共有のタイミングを分析し、要望書などで関係者に根回し
■各社の役割と時間軸が交差する区分表
  • 発注/設計/工事/維持管理区分の明確化
  • 建設協力金と連動した区分の構築で、竣工後の維持管理フェーズにおけるトラブルリスクの徹底排除
■複雑な建設協力金スキームを明確化
  • 建設協力金スキームとプロジェクト費用の関係を見える化
  • 維持管理区分整理も含めて、官・民・学の役割分担を位置づけ

テーマ4発注者の評価は?

三者協定により、“官・民・学で協力タッグ”の達成

三者が協力してタッグを組んだ結果、新たなコンテンツ創出の達成はもちろん、建物品質的な観点でも達成度の高い施設となりました。小規模ながらも、大学の別館として周辺施設との機能的調和が求められた本施設は、放送局としても価値のある建物となっています。

総合的なPJ運営のサポートと施設の品質に高評価

お客様である、学校法人電子学園 ご担当者様より以下のお声をいただきました。

「映像スタジオでありながらも、教育施設の両方の役割を持つ施設であるという特性をご理解いただき、計画当初より発注者、利用者、建設会社など関係各社の間に入り、細やかな調整を行っていただいた事で関係者だけでなく、地域の方や業界の方からも「いい施設ですね」とお褒めの言葉をいただく素晴らしい施設を作ることができました。コロナ禍もあり、リアルタイムで様々な課題、変更や要望が発生する中、適切な判断ができるよう、総合的にプロジェクト運営をサポートしていただけたと感じています。墨田から、地域や世界に誇れる施設を一緒に作っていただき感謝しています。

プロジェクトデータ

<プロジェクト情報>

  • 【名 称】すみだメディアラボ新築工事 CM業務
  • 【所在地】東京都墨田区
  • 【種 別】新築 / 非住宅建築
  • 【CM業務委託者】学校法人電子学園
  • 【CMr】株式会社アクア
  • 【CM業務契約期間】2020年3月~2022年5月
  • 【CMrの選定方法】特命
  • 【CMrの参画時期】事業構想段階、基本計画段階、基本設計段階、実施設計段階、工事発注段階、工事段階
  • 【設計・施工の発注形式】設計施工一括
  • 【設計者の選定方法】特命随意契約
  • 【施工者の選定方法】特命随意契約
  • 【設計・施工者の選定時期】事業構想段階

<CM業務内容>

  • 【全般】発注者の目標・要求の確認と更新、プロジェクトの推進と管理、設計者・施工者・監理者の選定・発注、プロジェクト構成員の役割分担の明確化と更新、プロジェクト情報管理、プロジェクトにおけるリスクについて説明、CM業務報告書の作成
  • 【事業構想・基本計画】事業構想、基本計画
  • 【基本設計でのマネジメント】基本設計の方針検討、基本設計への支援と確認、基本設計図書等の内容の確認
  • 【実施設計でのマネジメント】実施設計の方針検討、実施設計への支援と確認、実施設計図書等の内容の確認
  • 【施工でのマネジメント】工事施工準備、工事施工、竣工・引渡し
CMrオピニオン

CM普及から一般化へ

株式会社アクア
マネジメント第三本部 シニアマネジャー
工藤 恭正

CMAJ2021年2月号の会員CMr提言にて、「関西でのCM普及にむけて」と題し、寄稿いたしました。今回は、その後の進捗についてご報告いたします。

2016年に東京本社から大阪支店に転勤し、執筆時の2020年はインバウンド需要により景気業務量が右肩上がりの状況からコロナ禍による落ち込みが顕著になり始めたものの、前年から継続していた宿泊施設、空港関連施設などの新築または改修工事をメインに担当しておりました。当時は関西圏における実績作りと新規顧客開拓を目指して日々汗を流していました。

執筆から約5年が経過した現在、発注者は関西圏だけにとどまらず更に広がり、またCMに対する業務要望が拡大し、CMが「普及」から既に「一般化」していることを肌で感じている状況です。例を挙げると、担当する地域は九州、四国、東海、出戻りした首都圏などに広がり、規模は再開発から数百㎡の小規模施設まで、ユニークな用途では水族館や養殖施設などのプロジェクトもありました。更に業務内容の拡大は著しく、プロジェクトの川上である企画段階から維持管理までの業務の受注があり、先般CMガイドブック第4版改訂で整理・追加されたマネジメント要素を、まさに実践している形となっています。特に驚いたのは、設計者、施工者からCM参画を発注者へ促す状況をここ数年で見受けられるようになったことです。入社当時にコストカッターと煙たがられたことが懐かしく、CM業界の諸先輩方の誠意と努力の結果により取り巻く環境は大きく変革し、CMの「一般化」に至っているのだと強く感じました。

今後はCM業界の更なる発展のため、業務範囲の広がりに対応できる能力形成と次世代への継承を課題として取り組んで参ります。また機会があれば進捗を執筆したいと思います。ありがとうございました。

CMrオピニオン

クリエイションとマネジメント

株式会社NTTファシリティーズ
プロジェクトマネジメント部
辻林 舞衣子

最近よく思うことがあります。CMとは何か。
私の最近の答えは、“クリエイションとマネジメントの間”です。コンストラクションマネジメントというように、CMは単なるマネジメントでなく、建築あるいは建設にまつわるマネジメントであるということ。発注者に寄り添いながら、設計者あるいは施工者ほか多くの関係者の間で躍動する先にアウトプットである建物の品質向上をゴールとするわけですが、そのアウトプットが社会に対してどのように影響するのか、にも責があると考えるのです。

私が意匠設計出身ということもあると思いますが、クライアントが発注者として示している与件以外に、将来にわたってその建物・施設が使われていくにあたり、費用だけでは測れない価値があると思います。

設計者からそういった部分まで踏み込んだ提案が出てきた時、より経済的にも建築的な影響の面からも発注者や利用者から理解を得やすいよう、時には設計者を支援しながら、より良いアウトプットに繋げられた時、CMrとしての充実感を感じています。

同級生や友人の建築家からは時に、CMって何をしてくれるの?と問い詰められることがあります。

設計者のエゴでむやみにコストアップするようなことがあってはなりませんが、丁寧にその意図や社会的意義を紐解いた時、本当に必要とされる価値であれば認め、あるいはNGの判断もしながら施主との対話へCMrが繋ぐならば、建築家にとっても良いことでしょうし、逆にCMにはそのような目利きや建築家と対等に議論ができる建築的素養が求められるように感じます。

そのような意味において、私が考えるCMとは、クリエイションとマネジメントの間、という現在地です。皆さまはいかがお考えでしょうか。